九條今日子: 2010年12月 不忍画廊個展案内状より

[ 2014年2月14日 ]

偶然なのか必然なのか解らないが、人との出会いは不思議なものだ。

8月の暑い日、私は青森の三沢にいた。
亡き夫の寺山修司記念館で、翌日から行われる「寺山修司フェスティバル」の準備に行っていた。
そこへ偶然にSKD時代の後輩、東オリエ(荒井織枝)さんがいらして下さった。彼女とは特別親しい仲ではなかったが、大勢いた一期後輩の中でも、可愛らしくて品があり良家のお嬢さんという印象が私の記憶に残っていた。
何十年も会ってないのに、わざわざ記念館に来て下さったことと、寺山の前衛性が、どうにも結びつかず、私はしばし戸惑っていた。上野の不忍で画廊を経営していたが、今(2010年当時)は八重洲に移したという。
かって同じ不忍でニキ・スペースというニキ・ド・サンファルのコレクターでも知られる画廊を経営していた増田静江さんと、私は長年の懇意だった。そこで出会ったのが成田朱希さんだった。その彼女が不忍画廊で個展を開くという。
成田朱希さんの絵画は、一度見たら忘れる事が出来ないインパクトのある作品を描き続けている。絵の中の少女たちの瞳や肉体に内包されている鋭さは、その場から立ち去ることを拒絶しているような挑戦的にさえ見える。
普段の彼女は、面倒見の良い穏やかなお母さんなので、作品とのギャップに私はいつも驚かされている。
彼女も青森出身という。もしかしたら風土特有な性質が、彼女は絵画で、寺山は文学で、二律背反となって表現されているのかも知れない。

それにしても人との出会いは不思議で面白い。
個展の成功を増田さんや寺山が、天国からエールを送ってくれていることでしょう。

九條 今日子(プロデューサー、寺山修司記念館名誉館長)
2010年12月 「成田朱希個展 母のない子のように」不忍画廊案内状より

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