




「芸術家たちが紡ぎだし、いにしえより積みあげていった数多の幻想は、複雑に重なり合い互いを刺激し合いながら共存し、とどまることを知らずに蠢いて、とわに変容し続けるだろう。
そして、それらはわれわれの膠着した日常を揺さぶりつつ、現実を改変し続けていくだろう。」
Web企画〈幻想のパランプセスト ~架空の美術庭園~〉
2024年11月 相馬俊樹(美術評論家)
vol. 7 藤浪 理恵子|Fujinami Rieko
画家
2022
マイルラーフィルム、顔料 他
61×30.5cm
¥242,000
アメリカを拠点に意欲的に制作を続ける藤浪理恵子は、画家としてのキャリアを版画から開始したが、様々な技法を試し、相性のよかったフレスコとテンペラを現在も採用している。そして、主題は一貫して深刻な社会問題、とりわけ戦争の凄惨に絞られてきた。
2021
紙、アクリル 他
35.4×27.8cm
¥165,000
2022
マイルラーフィルム、顔料、アクリル
36×30.5cm
¥165,000
彼女の描く肖像、あるいは人物像は、しばしば、おぞましい魔毒のごとき異物に侵され、呪霊邪霊に憑かれているかの印象を見る者に突きつける。眩暈を惹起させかねない闇黒の痕跡が、耐えがたいほどに凝縮された戦慄が、いたるところに遍在する逃れがたき暴力の悪夢が、拭い去れずに定着されてしまうのである。
2022
マイルラーフィルム、顔料、アクリル
60×30.5cm
¥242,000
2019
グラスエングレービング、木製台座にLED
H46×W24.5×D10cm
¥198,000
描かれた人物の表情はわれわれの不安を強烈に駆り立てるものの、彼らの真の感情は読みとることも、想像することすらできそうもない。苦虐の極点、恐怖の極点というのは、おそらく、そういうものなのだろう。ただ、極度の不安をもたらす、謎に満ちた深き淵が提示されるだけであるが、それは芸術に託された最も重要な機能のひとつとはいえまいか。藤浪は、様々な手法を試みつつ、自らが課した役割を粛々と実行し続けていくのだろう。
2019
グラスエングレービング、木製台座にLED
H37 × W50 × D8cm
¥275,000
2009
フォトモンタージュ、デジタルプリント
29.3×33cm(シートサイズ)
ed. 1/1
¥66,000
2009
フォトモンタージュ、デジタルプリント
33×19cm(シートサイズ)
ed. 1/1
¥60,500
2009
フォトモンタージュ、デジタルプリント
33×24.3cm(シートサイズ)
ed. 1/1
¥66,000
Artist
1960年、千葉県生まれ。多摩美術大学大学院卒業。彼女は大学入学より先に版画家としての活動を開始し、のちには版画にまつわる数多の賞を獲得する。また、週刊新潮における久世光彦の『死のある風景』挿画をはじめとした、雑誌や書籍の挿絵も多く手がけている。2003年のアメリカ移住後は、日本とアメリカ両国で意欲的に展示し、活動の場を広げた。
いまだ世界に偏在する深き闇を、暴力の悪夢を、戦慄の惨劇をシリアスに受け止めることをいとわず、磨き抜かれた技法で明晰に描き切る真摯な姿勢は高く評価されている。
彼女の作品は東京ステーションギャラリー、神奈川県立近代美術館、国立近代美術館などの国内の美術館だけでなく、文化庁やイスラエルの美術館にも収蔵されている。
Art critic
相馬 俊樹|Soma Toshiki
1965年生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒。美術評論家。
主な著書:『エロティック・アートと秘教主義』(2018年、エディシオン・トレヴィル)、『アナムネシスの光芒ヘ』(2016年、芸術新聞社)、『禁断異系の美術館』シリーズ1~3(2009~2010年、アトリエサード)、『エロス・エゾデリック』(2011年、アトリエサード)、『テリブル・ダークネス』(2013年、アトリエサード)、『魔淫の迷宮 日本のエロティック・アート作家たち』(2012年、ポット出版)
編著:「風俗資料館 資料選集」シリーズ=『秋吉巒 挿画集 夢幻の悦楽郷』(2024年、アトリエサード)『伊藤晴雨の世界2 伊藤晴雨 秘蔵画集~門外不出の責め絵とドローイング』(2024年、アトリエサード)/『伊藤晴雨の世界1 [秘蔵写真集]責めの美学の研究』(2023年、アトリエサード)
共著書:『病と芸術』(2022年、東信堂、ロメーン・ブルックス論を収録)、『異界の論理』(2011年、アトリエサード、飯沢耕太郎氏との対談集)
訳書:ピーター・ウェブ『死、欲望、人形 評伝ハンス・ベルメール』(2021年、国書刊行会)


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