ノ ス タ ル ジ ア 斎藤真一 ★ 中佐藤滋 ★ 安元亮祐 展

会期:2018.9/18日(火) 〜 29(土) 11:00-18:30 休廊:23(日)・24(祝)

 

 

 

中佐藤滋 《勲章》 2013-16年作 キャンバス、アクリル 415×240(M6号)

東京の下町で育った中佐藤滋(一九四七~)の作品には、古き良き時代、昭和の空気や匂いが感じられ、一見無愛想に見える人物たちにもどこか温もりがあるように思います。

遠い日の東京下町
小さな工場や銭湯の高い煙突
錆びつき壊れかけた橋や黒色の自転車
蝋石の落書き等が数多くあり
また夕暮れ時には子供達の騒ぐ声や
野良猫の鳴き声
多方面からの生活音が混じり合った雑音
そんな何でも なかった
当時の情景が懐かしく思い浮かびます。

中佐藤 滋

在廊日:18(火)・22(土)・26(水)・29(土)

 

安元亮祐 《十二人の記憶 (ルメット監督 映画「十二人の怒れる男」1957より)》 2018年 パネル、アクリルコラージュ 270×385(変6号)

松本竣介等に憧れ画家になった安元亮祐(一九五四~)の作品は、特定できない無国籍の風景・人物が描かれながら、どこかで見たことがあるような不思議な懐かしさがあります。

歳を重ねたからだろうか…
描こうとする絵が、何故か少年時代に返ってしまう。
路地裏を行き交う人々、野良猫、ヤンチャな子ども達映画では、ゴジラ、黒澤明、フェデリコ・フェリーニ、ジャン・コクトーなど
灰色がかったおぼろげなげな風景が脳裏にうかぶ
これをノスタルジアというのかも知れない。

安元亮祐

 在廊日:18(火)・21(金)・22(土)・28(金)・29(土)

 
 

斎藤真一 《高田瞽女廣田家 下職人町》 1970年頃 板、油彩 333×243(F4号)
(下職人町・・・現在の高田大町5丁目辺り。金具屋、研屋、畳屋など職人が居住していた)

 藤田嗣治に「・・・秋田や東北が良いから一生懸命描きなさい。」と励まされ、盲目の女旅芸人《 瞽女(ごぜ)》をライフワークとして描き続けた斎藤真一(一九二二~九四)。

‥旅に出て生まれてはじめて訪ねた町なのに、一度来たことがあると思ってしまう。
あの街角を左に曲がると理髪店があり、その先に郵便局があり小さな紅屋という西洋料理店があるはずだと思ったりする。
きっと犬と同じくらい目線が低かった少年時代の望郷の念なのだろう‥‥。

斎藤真一/一九九四年絶筆
『斎藤真一さすらい記』二〇〇三朱雀院刊行より抜粋